「電話とメールの対応で、自分の仕事がなかなか進まない」。中小企業では、社長や数少ない事務担当に問い合わせが集中しがちです。実は、この問い合わせ対応はAIがいちばん力を発揮しやすい業務のひとつです。具体的には、ChatGPT(チャットジーピーティー・文章を読んで自然な回答文を作る対話AI)や Claude(クロード・同じく回答文を作るのが得意な対話AI)に会社のFAQをもとに一次回答を作らせ、難しい用件だけ Slack(スラック・社内チャット)で担当者へ通知して人が出る、という組み合わせが定番です。
世の中では「チャットボットを置きましょう」で話が終わりがちですが、現場で大事なのは「どこまでを自動にして、どこから人が出るか」の線引きです。ここを設計できるかどうかで、使われる仕組みになるか、置いただけで終わるかが分かれます。
結論:一次対応こそ、AIに向いている
問い合わせの多くは、実は「いつも同じ質問」です。営業時間、料金の考え方、納期、よくあるトラブルの対処。こうした繰り返し型の質問は、AIが24時間休まず答えられます。人が出るべきなのは、判断や交渉が要る一部だけ。つまり「全部を自動化」ではなく、「多い質問を自動で受け止め、難しいものだけ人に渡す」のが現実的で効果も大きいやり方です。
問い合わせ対応:仕組み化の前と後(月・中小企業のよくある規模での試算)
向いている会社・向きにくい会社
向いているのは、同じような問い合わせが毎日来る会社です。予約・受付、商品やサービスの説明、よくあるトラブルの一次対応などが当てはまります。電話が多い会社も、録音から自動で文字起こし・要約して記録に残せるので効果が出やすいです。
逆に、一件一件が完全に個別で、毎回交渉や専門判断が必要な業務は、自動化の比率は下がります。それでも「受付・記録・下調べ」の部分だけAIに任せ、人は判断に集中する、という形なら負担が減ります。
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具体的に、どう仕組みにするか
- 多い質問を洗い出す:直近の問い合わせを見て、上位の「いつもの質問」を10〜20個に整理します。ここが仕組みの土台です。
- 答えの元ネタをそろえる:料金の考え方・営業時間・FAQ・過去のメール返信など、答えに使う情報をひとまとめにします。AIはこの情報をもとに答えます。
- 自動で答える範囲と、人に渡す合図を決める:「この種類は自動」「これは人へ」を線引きし、難しい問い合わせは Slack(スラック・社内チャット)などで担当者に通知が飛ぶようにします。
- 電話は録音→文字起こし→要約:かかってきた電話を自動で記録に変え、対応漏れと「言った言わない」を防ぎます。
- 少しずつ任せる範囲を広げる:最初は一部だけ自動にし、様子を見ながら範囲を広げると、現場が無理なく慣れていきます。
実際に、どの道具を使うのか
「AIで自動化」と言っても、工程ごとに役割が違う道具を組み合わせるのが実態です。私たちが問い合わせ対応を仕組みにするとき、工程ごとにどう選んでいるかを書き出します。

- 回答文を作る部分(中核):ChatGPT(チャットジーピーティー)や Claude(クロード)といった対話AIに、会社のFAQや料金の考え方を渡して回答文を作らせます。どちらも自然な日本語で答えるのが得意で、どちらを選ぶかは普段その会社が使っているアカウントや、長い文章を丁寧に扱いたいか(Claude が向く場面)、外部サービスとの連携の多さ(ChatGPT が向く場面)で決めます。優劣ではなく、すでに契約がある方に寄せるのが現場ではいちばんラクです。
- お客様の入口になる部分:Webサイトに置くチャットボット(自動で会話する小窓)が定番です。ここは「最初の受け皿」で、裏側で上のAIが回答文を作り、チャットボットが画面に表示する、という分担になります。問い合わせの入口がメール中心ならメールの自動下書き、電話中心なら次に書く文字起こしを軸にする、と入口に合わせて選びます。
- 答えの元ネタ(FAQ・過去のメール):AIは渡された情報の範囲でしか正しく答えられないので、FAQや過去の返信文といった「元ネタ」を整えておく工程が要です。スプレッドシートや既存のFAQページなど、今ある形のままで構いません。立派な専用ツールより、情報が新しく一か所にまとまっていることのほうが答えの質を左右します。
- 難しい用件を人に渡す部分:自動で答えきれない用件は、Slack(スラック・社内チャット)に通知を飛ばして担当者へエスカレーション(人に引き継ぐこと)します。普段の連絡が LINE やメール中心の会社なら、無理に Slack を新しく入れず、いつも見ている窓口へ通知を寄せるのが現実的です。大事なのは「宙に浮く問い合わせをゼロにする」ことで、道具は会社が毎日見ている場所に合わせます。
- 電話の記録を残す部分:かかってきた電話は、文字起こし+要約のAI(録音した会話を文章に直し、要点をまとめる道具)で記録に変えます。これも上の対話AIと組み合わせれば、要約からそのまま対応メモや返信下書きまで作れます。
要は、回答を作るAI・お客様の入口・元ネタ・人への引き継ぎ・記録の5つの役割を、その会社がすでに使っている道具に寄せて埋めていく作業です。どれか一つの万能ツールを買う話ではありません。

必要なもの(準備)
特別な大型システムは必要ありません。よくある質問とその答え、過去のやり取り、今使っている問い合わせ窓口(メール・電話・チャット)。この程度の材料があれば始められます。むしろ大事なのは、立派なツールより「答えの元ネタを最初に整えること」です。
つまずきやすい点
- 全部を一気に自動化しようとする:使われない原因の多くはこれです。多い質問から小さく始めるのが結局いちばん早いです。
- 答えの元ネタが古い・バラバラ:情報が散らばっていると、AIの答えもぶれます。元ネタの整理が成否を分けます。
- 人に渡す合図がない:難しい問い合わせが宙に浮くと信頼を損ねます。「人へ渡す」導線をセットで設計します。
よくある質問
Q. お客様に「AIが対応している」と分かってしまいませんか? A. 一次対応で事実を正確に返し、難しいものは人が引き継ぐ設計なら、むしろ「待たされない」体験になります。見せ方も調整できます。
Q. 間違った答えを返さないか不安です。 A. 答えの元ネタを会社の正しい情報に限定し、分からないことは「人に確認します」と返す設計にできます。何でも答えさせない、が安全です。
問い合わせ対応は、社員の時間をいちばん削っているのに、いちばん仕組みにしやすい業務です。御社のどの問い合わせから手をつけると時間が浮きそうか、まずは目安を出してみませんか。
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