「在庫が減ってきたのは分かる。でも、いざ発注となると毎回、仕入先あての同じようなメールを一から書いている」。在庫管理の表は整えたのに、発注という”作業”だけが手元に残っている会社は多いです。品番を確認し、数量を計算し、いつもの文面を思い出してメールを打つ。1件は数分でも、品番が増え仕入先が増えるほど、この手打ちにかかる時間が地味に増えていきます。打ち忘れて在庫を切らした、逆に同じ発注を二重に出してしまった、ということも起こります。
世の中では「在庫管理アプリを入れましょう」「在庫が下限を切ったら通知が来ます」で話が終わりがちですが、現場で本当にラクになるのは、通知のもう一歩先、つまり下限を切ったその品目について、仕入先あての発注メールの下書きが、品番と数量まで入った状態で勝手に用意されるところです。本記事では、Google スプレッドシート(在庫表)+ GAS(Google Apps Script・Google製の自動化の仕組み) + Gmail で、在庫数が設定下限を割ったら定型の発注メールを自動でつくるところまで、どの工程でどのツールを使うか具体名で紹介します。
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結論:発注メールは「在庫が下限を切った瞬間に、下書きまで」作れる
発注メールを書く仕事は、頭を使っているようでいて、その大半は決まった作業です。どの品番が下限を切ったかを見る、いつもの数量を当てはめる、決まった文面に流し込む。ここはルール化でき、機械に任せられます。人がやるべきなのは、本当にこの数量・このタイミングで頼んでよいかの確認と、送信ボタンを押す判断だけ。「全部を自動で送りきる」のではなく、作業は自動化、最終確認と送信は人にと分けるのが現実的です。
きっかけになるのは、在庫表の数字が「下限を割った」その瞬間です。ここを起点にすれば、人が品番を探したり数量を数えたりしなくても、後工程の文面づくりが動き出します。

発注を手打ちのままにするほど、「書く時間」と「打ち忘れ・二重発注」が静かに積み上がります。先に仕組みにしておくほうが、結局は安全で速いです。
発注メールまわり:仕組み化の前と後(月・中小企業のよくある規模での試算)
向いている会社・向きにくい会社
向いているのは、決まった仕入先に、同じような品目を繰り返し発注する会社です。消耗品・資材・梱包材・定番商品の補充など、文面も数量もほぼ型が決まっているものほど効果が出ます。すでに在庫を Google スプレッドシートや Excel で管理している会社は、その表をそのまま起点にできるので、とくに相性が良いです。
逆に、毎回仕様も数量も交渉して決めるような一点ものの仕入れが中心の会社では、自動化の効果は限定的です。それでも「定番品の補充メールだけ下書きを自動で用意する」といった部分的な使い方なら、十分に時短になります。
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具体的に、どう仕組みにするか
発注メールを仕組みにする3ステップ
- 1在庫を見張る在庫表の数字が発注点(下限)を割った品番を、GAS が自動で拾い出します。
- 2テンプレに流し込む仕入先・品番・数量を、決まったメール文面に自動で埋め込みます。
- 3下書きを用意+記録Gmail に発注メールの下書きを用意し、「送った/まだ」を台帳に残して二重発注を防ぎます。

- 下限を割った品番を拾う:在庫表の「在庫数」が「発注点」を下回った行を、GAS が自動で抜き出します。人が表を眺めて探す必要がなくなります。
- 仕入先と発注数量を当てはめる:品番ごとに決めた「いつもの仕入先」と「補充数量」を表から読み、発注内容を組み立てます。
- テンプレに流し込む:「いつもお世話になっております……下記のとおり発注をお願いします」といった定型文に、品番と数量を差し込みます。
- Gmail に下書きを用意する:いきなり送らず、まずは下書きとして作ります。人が中身を一目見て、問題なければ送信ボタンを押すだけにします。
- 送った記録を台帳に残す:「いつ・どの品番を・いくつ発注したか」を台帳に1行残します。この記録が、同じ発注を二度出さないための肝です。
実際に、どの道具を使うのか
ここは具体名で踏み込みます。工程は「在庫の監視 → テンプレへの差し込み → メールの下書き → 送信記録」に分かれ、それぞれに向く道具があります。

在庫を持つ・見張る(Google スプレッドシート + GAS)
在庫の表は Google スプレッドシート(Google製の表計算・無料)が扱いやすいです。品番・在庫数・発注点・いつもの仕入先・補充数量を1行ずつ並べておきます。その表を一定時間ごとに見張り、下限を割った行を拾うのが GAS(ジーエーエス・Google Apps Script・Googleの無料の自動化スクリプト) の役目。GAS には決めた時刻に自動で動く「トリガー」があり、たとえば「毎朝9時にチェック」と設定すれば、人が起動しなくても勝手に走ります。すでに Excel で管理している会社は、同じ表を Google スプレッドシートに移すところから始めると、この仕組みに乗せやすくなります。
テンプレに品番・数量を差し込む(GAS のテンプレ置換)
発注文面は、毎回固定の部分(あいさつ・締め)と、毎回変わる部分(品番・数量)に分けて考えます。文面の中に {品番} {数量} といった**目印(プレースホルダ)**を置いておき、GAS が在庫表の値でそこを置き換える。これが「テンプレ差し込み」です。仕入先ごとに文面を変えたい場合は、テンプレ自体を仕入先別に持っておけば、相手に合わせた文面が自動で選ばれます。
ここが肝
文面の「固定の部分」と「毎回変わる部分(品番・数量)」を最初に分けておくこと。変わる部分だけを差し込みにすれば、仕入先が増えてもテンプレを足すだけで済み、文面の品質も揃います。
メールを下書きする(Gmail)
組み上がった文面は Gmail の下書きとして作ります。ここで「いきなり送信」ではなく「下書きまで」にしておくのが、誤発注を防ぐ要です。人が下書きを開いて、数量と仕入先を一目で確認し、問題なければ送る。本数が多くて確認しきれない場合は、「金額や数量が一定を超える発注だけは必ず人が確認、それ以下は定型として流す」といった上限ガードを置く設計にもできます。
送信を記録する(スプレッドシート台帳)
「いつ・どの品番を・どの仕入先に・いくつ発注したか」は、Google スプレッドシートの台帳に1行ずつ残します。GAS は次に在庫を見張るとき、この台帳を照らし合わせて「すでに発注済みでまだ納品待ちの品番」を二重に拾わないようにできます。発注のたびに台帳が1行増える形にしておけば、発注履歴がそのまま検索できる資産になります。
この仕組みに使う主なツール(例)と、それで得られること
- AGoogle スプレッドシート(在庫表・台帳)品番・在庫数・発注点・仕入先を一覧で持ち、発注履歴も1行ずつ残します。
- BGAS(自動で動かす仕組み)下限を割った品番を拾い、テンプレに品番・数量を差し込みます。
- CGmail(メールの下書き)発注メールを下書きで用意。人は中身を確認して送るだけにします。
つまずきやすい点
- いきなり全自動で送る設計にする:自動発注は、数量や仕入先を取り違えると実害が出ます。まずは下書きまでで止め、最終送信は人が確認する形から始めるのが安全です。慣れてきたら「少額・定番だけ自動送信、それ以外は下書き」と段階的に広げます。
- 二重発注の防止を後回しにする:送信記録を残さないと、納品待ちの品番をまた拾って二度発注しかねません。「発注済み・納品待ち」の状態を台帳に持つところまでをセットにします。
- 発注点と補充数量を決めずに始める:何を下限とし、いくつ補充するかが曖昧だと、頻繁に発注が出すぎたり足りなかったりします。品番ごとの発注点・補充数量は、実物の動きを少し見てから決めると安定します。
よくある質問
Q. 間違った数量や相手にメールが飛んでしまわないか心配です。 A. その心配があるからこそ、いきなり送信せず「下書き」で止める設計を基本にしています。人が一目見て送るので、数量や仕入先の取り違えに気づけます。さらに、「一定金額・一定数量を超える発注は必ず人の確認を通す」という上限ガードを置けば、定型は速く、例外は慎重に、と両立できます。
Q. 仕入先ごとに文面や発注の形式が違います。対応できますか? A. 仕入先ごとにテンプレを分けて持てば対応できます。品番に「いつもの仕入先」を紐づけておけば、その相手用の文面が自動で選ばれます。FAX や専用フォームでの発注が必要な相手は無理に自動化せず、メールで完結する取引先から始めるのが現実的です。
なお、この記事の数値は、特定の実在企業の事例ではなく、現場でよく見る状況を組み立てた代表的なケースです。御社に当てはめた目安は、診断で出すのがいちばん近くなります。
仕入先への発注メールは、1件は短くても、品番と仕入先の数だけ毎回かかる業務です。在庫が下限を割った瞬間に下書きまで用意され、送った記録まで残る仕組みにすれば、社員は「書く・数える・打ち忘れを気にする」から解放され、本来やるべき仕事に向かえます。御社のどの品目の発注から手をつけると時間が浮きそうか、まずは目安を出してみませんか。
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