ブログ

「うちの会社のことを分かっているAI」は、どうやって作るのか:Claude を MCP で Notion や Google ドライブにつなぐ

2026年6月1日

「AIを試してみたけれど、一般論しか返ってこなくて、結局うちの仕事には使えなかった」。よくいただく感想です。

無理もありません。ChatGPT や Claude(クロード・Anthropic 社の対話AI) のようなAIは、世の中の一般的な知識は持っていても、御社の顧客名簿も、商品マスタも、過去のやり取りも、何ひとつ知らないからです。腕は一流でも、御社の冷蔵庫の中身を知らないシェフのようなもの。これでは、気の利いた献立は出てきません。

では、AIに「御社のこと」を分かってもらうには、どうすればいいのか。ここで出てくるのが MCP(エムシーピー・AIと外部のデータやツールをつなぐための共通規格) という仕組みです。たとえば社内文書をためている Notion(ノーション・社内Wiki/データベースツール)Google ドライブ(グーグルドライブ・ファイル共有) を Claude にこの MCP でつなぐと、AIが「御社の棚」を自分で見にいけるようになります。聞き慣れない言葉だと思うので、なるべくそのまま使える言葉で説明します。

読みながら自社のことで考えたい方は、1分の無料セルフ診断で、御社の業務の目安を出すところから始められます。

AIに「うちのこと」を教える、2つのやり方

AIに自社の情報を渡す方法は、大きく2つあります。

NotionやGoogleドライブなど社内のデータを、AIにMCPでつなぐ流れ
一度つなげば、AIが必要なときに「御社の棚」を自分で見にいく

1つめは、毎回その都度、手で貼り付ける方法。 「この顧客の過去のやり取りはこれです」とコピーして貼ってから質問する。一度きりなら使えますが、毎日の業務でこれを続けるのは現実的ではありません。貼り忘れれば、またピント外れな答えが返ってきます。

2つめが、AIと自社の情報・ツールを”つなぐ”方法。 一度つないでおけば、AIが必要なときに自分で「御社のデータ」を見にいき、御社の事情を踏まえた答えを返します。この”つなぐ”ための共通の仕組みが、MCPです。

MCPとは、AIと自社をつなぐ「安全な窓口」

MCPを一言でいえば、**AIが御社のデータやツールにアクセスするための、決まった形の「窓口」**です。

たとえるなら、銀行の窓口です。お客様(AI)が金庫(データ)に直接手を伸ばすのではなく、窓口を通して「必要な手続きだけ」を行う。窓口があるからこそ、誰が・何を・どこまで触れるのかを管理できます。

自社のデータ・ツール顧客・請求・在庫
会計ソフト など
MCP(窓口)
AI必要な分だけ
見て答える

この仕組みの何が良いかというと、つなぐ相手と範囲を、こちらで決められることです。「請求データは見せるが、人事情報は渡さない」「読み取りはさせるが、書き換えはさせない」。別の記事でお伝えした”情報の境界”を、技術の側からきちんと引けます。

御社のどの業務なら、安全につなげて自動化できそうか。業種と業務を選ぶだけの無料セルフ診断で目安が出ます。

「何でもつなげばいい」わけではない(正直なところ)

ここは正直にお伝えします。MCPで何でもつなげば便利になる、という単純な話ではありません。

つなぐほどAIにできることは増えますが、同時に「どこまで任せ、どこから人が確認するか」の設計が重みを増します。やみくもにつなぐと、かえって管理が複雑になり、見えないリスクも増えます。

私たちが大切にしているのは、御社の業務の中で”最も手間が減る一点”を見極め、そこだけを安全な形でつなぐこと。技術として何ができるかではなく、御社の経営にとって何が要るかから逆算します。

実際に、どの道具を使うのか

抽象的な話が続いたので、ここからは実際に「うちのことを分かるAI」を組むとき、工程ごとにどんな道具を使うのかを具体的にお伝えします。

① 対話するAIそのもの

ここは Claude(クロード・Anthropic 社の対話AI)や ChatGPT を使います。MCP という規格にきちんと対応しているAIを選ぶのがポイントで、Claude は MCP を発表した本家でもあり、外部のデータやツールにつなぐ用途では定番です。社内に手元のPCで動かしたいといった事情がある場合は、自社サーバーで動かせるAIを選ぶこともあります。御社の機密度に応じて、どこでAIを動かすかから決めます。

② 何をつなぐか(データソース)

すでに御社が情報をためている場所をそのまま窓口にします。社内マニュアルや議事録なら Notion(ノーション・社内Wiki/データベースツール)、契約書や資料ファイルなら Google ドライブ(グーグルドライブ・ファイル共有)、というように、今ある置き場に MCP の窓口を付ける形です。新しい場所に引っ越す必要はありません。バラバラに散らばっている会社ほど、まず置き場をひとつに寄せるところからのご提案になります。

③ 「意味で探す」土台(RAG)

御社のデータが数千ページに増えると、AIに毎回ぜんぶ読ませるわけにはいきません。そこで、文書を意味のかたまりで覚えさせ、質問に近い中身だけを取り出す RAG(ラグ・関連する社内情報だけを探して渡す仕組み) を間に挟みます。この土台には、Supabase(スーパーベース・データベースと認証をまとめて持てる開発基盤)に pgvector(ピージーベクター・「意味の近さ」で文書を検索できる拡張機能)を組み合わせる構成が定番です。「先月の請求トラブルに似た過去事例」のように、言葉が一致していなくても意味が近い情報を引ける。ここが、ただの検索との違いです。

どういう時にどれを選ぶか

機密度が高ければ①のAIを動かす場所から検討し、データが少なければ②のデータソース直結で十分、量が増えて精度が要るなら③のRAGを足す。御社の規模と中身を見てから、必要な分だけ組み合わせます。最初から全部は要りません。

まとめ:「うちのことを分かるAI」は、設計でつくれる

3行まとめ

AIが一般論しか返さないのは、御社のことを知らないから。MCPで自社の情報やツールに安全につなげば「事情を踏まえた、もう一人の社員」に近づく。肝心なのは、つなぐ範囲と境界を経営の目線で設計することです。

MCPという仕組みで自社の情報やツールに安全につなげば、AIは「御社の事情を踏まえた、もう一人の社員」に近づきます。つなぐ範囲と境界を経営の目線で設計する。そこが、私たちのような外部の役割だと考えています。

御社の業務のうち、どこから安全につなげるか。1分の無料セルフ診断で、最初の見当をつけられます。費用はかかりません。

※ 本記事は仕組みの考え方を分かりやすくお伝えするためのもので、技術的な厳密さより、つかみやすさを優先しています。

関連記事

あわせて読みたい

便利な拡張機能に、機密を預けて大丈夫か。ブラウザ標準APIとClaudeで自前でつくる選択肢

業務で使う「便利なツール」が、裏で何をしているかは見えません。私たちは、機密ページを扱う社内ツールを外部の拡張機能に頼らず、ブラウザ標準のAPIとClaude/ChatGPTを相棒に自前でつくり、GitHubで管理しました。AIと手を動かしてつくった経験から、「安全」を"信じるしかない"から"自分で確かめられる"に変える考え方を整理します。

続きを読む →

動画AIで会社サイトに「動く素材」を作る:静止画1枚から、外注なしで試作する最短ガイド

「会社サイトに動きのある素材を入れたいが、動画制作は費用も時間もかかる」。実は、静止画1枚から短い動画を作れるAIなら、無料枠で1日内に試作できます。Higgsfield と Kling を使った試作の流れと、商用で使う前に必ず確認したい「権利と利用条件」の線引きを、実際に手を動かしている立場から整理しました。

続きを読む →

AIに作らせた文章やコードは、別系統のAIに「粗を探させる」。一人会社でも“違う目”でチェックする

AIに作らせたものが合っているか不安。でも同じAIに「これで合ってる?」と聞くと、毎回「大丈夫です」と返ってくる。理由は追従(おべっか)です。ChatGPTで書いたらClaudeに、コードはCodexに、という形で別系統のAIに批判役で読ませる仕組みを、ツール名つきで紹介します。最後の判断は人がします。

続きを読む →

「何から始めるか分からない」が6割。AI導入の前に経営者がやること1つ

AIを入れたい中小企業の約6割が「何から始めるか分からない」で止まっています。これは性格でも能力でもなく、順番の問題です。製品を選ぶ前にやるべき最初の1手である「今ある業務を紙1枚に書き出す」棚卸しのやり方を、実際に手を動かしている立場から整理しました。

続きを読む →

AIエージェントとは何か:御社の業務で何を任せられるか

「AIエージェント」という言葉は聞くけれど実体が見えない、という経営者の方へ。指示待ちのチャットと何が違うのか、御社の業務で具体的に何を任せられるのか、任せる範囲の決め方を、実際に現場で手を動かしている立場から噛み砕いて整理しました。

続きを読む →

「AIを業務に組み込む」とは、具体的に何をすることか

「AIを業務に組み込む」と言われても、実際に何が起きるのか分かりにくいものです。ChatGPTに質問することと、業務に組み込むことの違いを、3つのレベルに分けて、使う道具の例も交えながら経営者の言葉で説明します。

続きを読む →

まず1分で、御社の「人がやらなくていい作業」を見つけませんか。

5つの質問に答えるだけ。いちばん時間がかかっている業務が、仕組みにするとどれくらい軽くなりそうか、その場で目安が出ます。費用はかかりません。

お問い合わせ

ご相談・お問い合わせはこちらから

診断を受けずに直接ご相談いただいても構いません。会社名・ご担当者名・ご連絡先と、ご相談内容をお書きください。折り返しご連絡します。